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そんなもんだろう?


あれだけぎゃあぎゃあ泣いていたのに

僕からミルクは飲まないのに

ママの胸に抱かれた途端泣き止んで

ニコニコ笑って声まで出して

このガッカリ感はなんなんだ

明日仕事に行くときに

スーツケースと猫を連れて

そのまま実家に帰らせていただきたい気持ち

僕はママより君のことをわかっていない

僕はママより何をすればいいのかをわかっていない

仕方ないよ

これでも頑張ってるつもりなんだけどなぁ

僕がつくったミルク

ちょっと失敗してぬるくなっちゃった

ごめんよ

案の定君は飲まなかったね

もしかしたらお腹が空いてなかっただけかもしれない

ミルクは机の上に置かれて

冷たくなっていったんだ

僕はせっかく頑張って作ったミルクが

一口も飲まれずに冷たくなっていくことが残念だった

そのミルクがますます冷えていくのを見るのが切なくなった

なんだか僕が否定されているようでね

だからミルクを捨てて容器を洗ったんだ

そしたらママが

なんで捨てたの!?

と僕を問い詰めるように

熱いお湯に浸かれば温かくなるから飲めるのに!?

と語気を強めてそんなこともわからないの?という含みをもたせて

パパがねぇミルク捨てちゃったんだってぇ

と君にも同じことを言っていたね

もったいないねぇ・・・

と僕の胸の奥深くまで

一度二度

言葉のナイフを刺されたようだった

僕は何も言えなかった

だって僕が悪いからね

それでも

その言い方はないよと

言い返せばよかっただろうか

ケンカすればよかっただろうか

でも子育てにおいては

ママに勝てるパパなんてそういないだろう

だから言い返したって

それは戯言

君はそんな僕をどう見ていたんだい

僕のことを嫌いになっただろうか

僕のことをかわいそうと思ってくれただろうか

パパごめんねと思ってくれただろうか

僕は君の顔を見れなかった

僕は二人のいない部屋に行き

冷静になろうと努力した

僕だってきっとママを傷つけている言葉があるだろう

そう思うことにした

自分なりによく頑張ってる

そう強く思うことにした

いつだって完璧であり続けるなんて不可能だ

失敗するから学びがある

僕はこういったポジティブシンキングに天邪鬼であろうとする

どうも自分を責めたがる

自分を責めることについてはサディズムだ

仕方ない

こんな自分でしかないのだから

でも時間が経てば

ママも疲れていて気が立っていたんだろう

頭痛がするって言ってたしな

そんなことを思い出せば

僕で完結できていればよかった

君を泣き止ませることができて

君が飲みたがるミルクをつくることができていたら

ママを休ませることができたのに

僕が君をもう少しうまく扱うことができれば

ママの負担を減らすことができるのに

頑張ろう

頑張ろう

君にもっと触れて

僕と一緒にいるのがとても楽しいと思ってもらえるように

頑張ろう

傷ばかりを見るより

家族にもらっている幸せを感じていよう

君はどう思う?

夫婦って

家族って

そんなもんだろう?


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