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生まれてこなければよかった


【概要】

私が物心ついた時、すでに母の目は見えなかった。そして人工透析をするために、週三回通院していた。

いつの頃からか、私は自分が生まれたことで母の目が見えなくなったのだと、罪の意識を潜在意識に抑圧していった。それに気づいたのは、32歳の時に受けた初めてのカウンセリングだった。それまで一度も顕在化したことのなかった思いが、私の生きづらさをつくっていたことを知ったのだ。

私の心に母の障害がどのように棲みつき、生きづらさとなっていったのか。時間と心を丁寧に紐解いていくと、あらゆる出来事が母との関係に起因していた。

生きづらさの正体がわかった今となっては、それが顔を出すことは少なくなった。

生きていればいいこともある。

いつかどこかで聞いたありふれた言葉を実感できるまでには、40年の歳月が必要だった。



生まれてこなければよかった







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